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「冬足さん、そういえば聞き忘れていたんですけど…確かユニコーン…あ、いやポートマンさんとは事件現場で待ち合わせなんですよね?」
ベルトコンベアで唯一クルクル回されていた可哀想な俺のスーツケースと再会を果たし、何事もなく空港から出た俺は大事なことを聞いていないことに気がついた。
「そう言っただろ?さすが鳥頭。」
一言余計だな。…あ、はい。素晴らしい的を得た一言でございます。だからその手にかまえてるシンの出たボールペンしまってください。ペーパーナイフは機内持こめないからって文房具を凶器にしないでください。
「そ、そこまでどう行くんですか?おれ札しか無いですよ?」
タクシーとか高そうなイメージだけど…乗るのか?
「もちろんバスだが?」
「バスって両替できますか?」
「ガイドブックにはできないって書いてあったな。」
「…俺、水買ってきます。」
後でタッチしていこかーみたいなICカードの存在と、レシートをバス会社に持っていけばお釣り帰ってくる制度を知ったけど、この時は飲まない水を2ユーロで初っ端から買うはめになったのだった。
「すげー!二階建て!二階建てバスですよ!冬足さん!赤く無いけど!俺初めて見ました!」
空港に戻ってコンビニで四苦八苦しながら水を買って来たらバス停に青と黄色のバスが来ていた。初めての二階建てバスにかなりテンションが上がる。
「うるさい。」
バゴッ
「ウゴッ」
いやいやいやいや!いきなり背後からスーツケースで殴ること無いでしょ。その30キロあるスーツケースを軽く持ち上げる腕力もすごいけども!変な声出ちゃったじゃ無いですか!
「何するんですか!首の骨折れたらtheエンドですよ!」
「人間じゃ無いから大丈夫だろ?」
「そういう問題じゃなくてですね!モラルとか危険性とか諸々あるでしょ!」
「うるさいほうが悪い」
もうやだ、この人。
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