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「これ、取られませんかね…?」
「なら、一階で見ていればいい。俺のには特に盗まれて困るようなものは入ってない。というより、取られたら烏、取り返せるまで帰ってこなくていい。」
OMG!!なんたる理不尽。だけど、冬足さんのと違って俺のにはお金入ってるし、服も…万年金欠大学生の俺には取られたからといって服を買う余裕はないから、素直に今回は二階を諦めて荷物番に徹しよう。
「じゃあ、俺は上にいるから。」
「えっ、ずるっ!」
不敵に笑う冬足さんに思わず本音が出てしまった。
「ふっ、いいだろう。」
……イラッ
不適からいきなり爽やかスマイルをしないでほしい。
冬足さんがまた何か言おうとしたが、ドヤドヤと新たな人々、俺たちと同じようにスーツケースを持っている団体がバスの横の横断歩道を渡ってくるのを見て何も言わずに二階に上がっていった。
あー…置いて行かれた。でも、荷物…うーん。
2秒悩んで素直に一階の荷物が見える位置に腰を落ち着けた。もちろん窓側。思ったより車体が低くて、ほとんど歩いている時のような視線の風景が窓越しに見える。
横断歩道の団体さんが乗り込み、中国語か韓国語らしい何となく聞き覚えのある発音を聞きながらバスは発車した。
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