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「すげー…これ大学じゃなくて、博物館とかじゃないんですか?」
バスから降りた目の前には高い壁…と言っても2mくらいだけど。
いきなり止まった俺の横を何人かが迷惑そうに避けていくので、そっと壁の方による。
バスも行ってしまい、道が見渡せるようになった目の前には、デパートっぽい豪華なショーウィンドウ。淡いピンク色のドレスを着たマネキンを彩るように薔薇とかクリスマスツリーに飾るようなモシャモシャ、ガラス玉が飾られている。その横には京都の河原町にも最近できたデンマーク発の雑貨屋が存在感をアピールしている。
そして何よりその道をと人の大半の髪色は金や茶色。黒の人もいるけれど、みんな揃って鼻が高いし、彫り深い。
そして、長い足でスタスタと歩いていく姿は誰でもスタイリッシュ。
外国人の友達が日本人は足の動きが早いって言っていた理由がわかった気がした。
これは、単純な長さの差なんだな。
そんなに背が低いわけでもないけれど、いや、俺だってやろうと思えば…ッテェ!
「イッタァ!え、冬足さん?!今何さしました?!」
「スーツケース持ったまま口開けてボヤッとしてると盗まれるぞ、お上りさん。」
「えぇっ、いや、お上りさんは認めますけども!刺すことないじゃないですか!サクッってきましたよ!」
取られるって話はガイドブックでなんとなく知っていたから冬足さんには一ミリ感謝するけれども。絶対この人さっき空港で持ってたボールペンで刺したぞ!肩甲骨の間がまだズキズキするんだけど。
「路上で叫ぶな、日本の品格を落とす。」
「誰のせいで叫んでると思ってるんですか?!」
「あ、あの雑貨屋って確かペーパーナイフとか置いてるよなぁ?」
「ペーパーナイフの用途とブランドの品格を落とさないでください!」
あのブランドのノート、ページ数がかなりあって愛用してるのに買いに入るのにトラウマになりそうなことはやめてほしい。
「まぁ、いい。時間が押してるんだからとっとと行くぞ、ポーター。」
「…俺たちって対等な関係ですよね?」
「フッ」
あ、鼻で笑われた…。
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