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ミステリーツアー
新聞の折り込み広告に一枚のチラシが入っていた。
旅行会社のチラシで、近距離から遠距離まで、土地や季節に合わせた様々なツアーが紹介されている。
その一つにミステリーツアーというのがあった。
集合時間とおよその帰宅予定時間以外は総て内緒。どこへ行くのか目的が何なのかは、行ってみてのお楽しみという趣向の旅だ。
日程を見れば、ちょうど夏季休暇と重なる日付だった。
普段はこういった旅行をすることなどないのたが、むくむくと興味が湧き、何人かの友人に同行の誘いをかけると、都合のつく相手が二人いた。
双方と連絡を取り合い、三人旅での申し込みをして、私と二人の友人はミステリーツアーに参加することとなった。
しかし残念なことに、急に仕事の予定が変わり、私はツアーに参加できなくなってしまった。
仕方がなく一人分のキャンセルを申し出ると、旅行会社は快く承諾してくれ、私は残念さと申し訳なさを募らせながら、友人たちに旅を楽しんできてくれと伝えた。
その後、旅から帰った友人達は、手土産と旅先での話を持って私を訪ねてくれた。
話の間中、二人は心から楽しそうで、すっかりミステリーツアーというものにハマってしまったから、今後も機会があったら行きたいし、今度こそは私も行こうと言ってくれた。
けれどそれからは、どうしても私の都合がつけられず私はすっかり友人たちを見送る役となってしまった。
そんなある日。
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