4人が本棚に入れています
本棚に追加
ツアーに参加した二人の友人が旅先で亡くなったという報せが私に届いた。
聞けば、二人の乗ったバスがトラックと衝突し、バスは谷底に転落。運転手やガイドを含む乗客の全員が亡くなったということだった。
急な話にショックを受けながらも、私は双方の葬儀に参列し、慌ただしく半月ばかりを過ごした。そしてようやく身辺が落ち着いた頃にそのメールを発見した。
送信した日付は二人が事故死した日。アドレスは友人の片方のもの。
どういう訳か、今になって届いたメールに戸惑いながら中を見ると、それは二人が連名で送ってくれた旅の感想のようなものだった。
『今、車内にいる。今日も目的地は秘密ということで、外はまったく見させてもらえない』
『本当はこういった連絡もしてはダメだと言われているが、今日は目的地の地名が面白すぎたので、こっそりお前にメールを送ることにした』
『なんと、今回のツアーの目的地は“あの世”だそうだ。変な地名はたくさんあるが、これは強烈過ぎるだろw』
『“あの世”土産、期待してろよw』
…バスの転落は、本当に単なる事故だったのだろうか。
真相を知りたいと思ったが、この事故がきっかけで旅行会社は潰れてしまったらしく、連絡先の電話は通じず、折り込みチラシが入ることもない。
最初に私が誘わなければ、友人達が行くことはなかった謎のツアー。…このメールは一生消すことはないだろう。
ミステリーツアー…完
最初のコメントを投稿しよう!