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教室で自己紹介をして、用意された自分の席に着いた。初顔合わせとなった二年一組の面々は物珍しそうに視線が周囲から突き刺さる。教室で集中する視線はなんとなく居心地が悪い。小学生の時に転校生がやってきた。その時にチラチラと見ていただろうか。もしそうだったら「悪いことをしたな」という罪悪感を今になって思う。
二年生になったことで一年生の時とは違う。そういった浜中先生の注意事項を終えていくつか配布されるプリントを貰う。それで今日は終わりらしく、話を終えた先生は早々に教室から出て行ってしまった。
「え? 終わり?」
あまりにもあっさりと、今日の学校が終わってしまった。入学式に参加していないため、学校に来てからまだほとんど時間が経っていない。
「おう、もう終わりだぞ。あの先生は話が短くて早いって有名なんだ」
隣の席に男子学生。日焼けした肌の色と短髪が印象的だ。
「それにしても……早くないか?」
「間違いなく一番早い」
ニヤッと笑う隣の席のクラスメイトが「朝礼とかが浜中先生だとラッキーなんだよ」という本音を続けて漏らしていた。
「名前は伊野部だっけ。俺は神田。よろしくな」
「ああ、よろしく、神田」
「部活は? どこ入るんだ?」
日焼けした肌に短髪の神田。その様子から彼は屋外競技のクラブに所属していると思われる。だからだろうか。いきなり現れた転校生がどの部活に所属するかが気になったのか、自己紹介もそこそこに質問がぶつけられた。
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