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あたしは何もない冷たい家庭に育った。
あたしの父の職業はいわゆる自営業。
田舎で今時流行らない家業を継いだ。
父は祖父からいろんなものを引き継いだ。
当時は立派だったのかもしれないが、今となってはただの襤褸屋に過ぎない家と、荷物になるだけの商売道具、それから莫大な借金。
父と母は一生懸命働いていた。
休みなんてなかった。
それでも、うちはいつだって貧乏だった。
あたしは自分の家が恥ずかしかった。
皆と違ってスーツを着て働くことのない父が恥ずかしかった。
皆に自分の家を見られるのが嫌だった。
いつも同じような服を着て学校に行くのが嫌だった。
皆みたいに可愛い服をたくさん着て、新しい髪飾りを自慢してみたかった。
皆みたいに、休みの日に家族でお出掛けしてみたかった。
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