書籍化御礼SS (その二)

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するりと泥濘を滑った拓人の指が目の前に差し出された。 勢いよく目を逸らす。 「見せないで」 「自覚しろ」 「見なくても、自覚してるわよ!」 自棄になって叫んだ声を聞いて、拓人はククッと笑った。 楽しそうだし、嬉しそうだ。 そんな様子を見ると、少しのいじわるくらい許してしまいそうになる。 「今日は何回イかせようか」 「知らない!」 「そうか。数えきれないくらいだな? 任せとけ」 「ちが、あぁっ」 唐突に入り込んできた指が的確に弱いところをついてきて、思わず叫んでしまった。 「もっと蕩けような」 楽しそうに言った拓人は私の中を探り、あっという間に官能の大渦に投げ込んだ。 「やっ、ん、まって」 「もっとだろ?」 「そうじゃ、あ、もうっ」 「ダメか?」
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