書籍化御礼SS (その二)

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「相変わらず、ズルい身体だな」 少し乱れた呼吸で、拓人は呟いた。 「……嫌いなの?」 「すげぇ、好き」 頬がカッと熱くなった。 不意打ちにも程がある。 だって、言った瞬間の拓人の顔が、すごく幸せそうで、言葉以上の想いを感じ取ってしまったのだから。 次第に激しさを増す揺れと、気まぐれに降ってくるキス。 溺れて、我を忘れそうになる度に、絶妙なタイミングで宥めてくる熱い手。 蕩けた私の身体は、このまま拓人に吸収されてしまうかもしれない。 溶け出してしまいそうな精神は拓人から逃げる手段を持たず、ただひたすら、喘ぐしかなかった。 この日、拓人が何度欲を吐き出したか、私は知らない。 私が何度絶頂を迎えたかも分からない。 遠くなる私の意識を、拓人は実に巧みに引き寄せ、宣言通り、私たちは朝まで抱き合った。 「栞奈、朝食の時間らしい」 「無理に決まってるでしょ!?」 楽しみにしていた朝食を食べ損なったことだけは、少しだけ悔しい。 こうして、私たちは(遅れてやってきた)新婚初夜の妖艶な魔力に屈服したのであった。 終
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