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「そんなことないですよ。とてもお似合いです。成瀬様は栞奈様のことをよくお分かりなんですね」
笑顔を絶やさない店員さんが、私と拓人を交互に見てそう言う。
それを聞いて、拓人は本当に小さくクスッと笑った。
「栞奈のことは、栞奈よりも俺の方が分かってる」
それは殺し文句ですか!?
「まぁ! 本当に仲がよろしいんですね」
「えぇ」
はぁぁぁっ!?
拓人が甘い顔をして、すごいことを肯定したような気がする。
それでなくても緊張してドキドキしているというのに、これ以上ないと言うほど心臓が速なり、痛いくらい打ち付けている。
「じゃあ、これに小物や靴も合わせてくれ。任せるから」
「畏まりました」
「ちょ、ちょ、拓人? そんなに選んだら、全身になっちゃうわよ?」
「それでいいんだよ」
「はい?」
「全身丸ごと買うつもりだから」
「えぇ!?」
分からない……どうしてこうなった?
全身のコーディネートをこんなすごいところで、ポンッと買っちゃうの?
しかも自分じゃなくて、私のものを?
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