拓人、栞奈を甘やかしてみる。

20/43
11982人が本棚に入れています
本棚に追加
/296ページ
「そんなことないですよ。とてもお似合いです。成瀬様は栞奈様のことをよくお分かりなんですね」 笑顔を絶やさない店員さんが、私と拓人を交互に見てそう言う。 それを聞いて、拓人は本当に小さくクスッと笑った。 「栞奈のことは、栞奈よりも俺の方が分かってる」 それは殺し文句ですか!? 「まぁ! 本当に仲がよろしいんですね」 「えぇ」 はぁぁぁっ!? 拓人が甘い顔をして、すごいことを肯定したような気がする。 それでなくても緊張してドキドキしているというのに、これ以上ないと言うほど心臓が速なり、痛いくらい打ち付けている。 「じゃあ、これに小物や靴も合わせてくれ。任せるから」 「畏まりました」 「ちょ、ちょ、拓人? そんなに選んだら、全身になっちゃうわよ?」 「それでいいんだよ」 「はい?」 「全身丸ごと買うつもりだから」 「えぇ!?」 分からない……どうしてこうなった? 全身のコーディネートをこんなすごいところで、ポンッと買っちゃうの? しかも自分じゃなくて、私のものを?
/296ページ

最初のコメントを投稿しよう!