間幕 とある勇者

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 僕、勇 蒼真は異世界に召喚された。けれど今は親友である連が心配である。僕は召喚されてからもう五日経つが全く会えない。はっきり言ってなんで連が僕の付き人と言ったかよくわからない。  けど僕は連が親友と信じている。それに今僕は勇者でありこの国に平和を作らなくてはいけない。もしかしたら連は僕の邪魔をしないために離れたのかもしれない。そう考えると早くなんとかしなきゃ。  「勇者さま、訓練の時間でございます。早く参りましょう、勇者様」  「何、一人で抜け駆けしているのよ! アリスちゃん?」  「あら、ユーリ様早い者勝ちですわ」  「なら、ほら行きましょう。蒼真?」  「ちょっと!! 静まで何やってるのよ」  今日も彼女たちが何で争っているかが分からないが、声を聞きつけたのか他の彼女たちも王城に用意された僕の部屋に入ってきた。  今僕の腕にくっついているのがこの国の王女であるアリスちゃん、そして東雲 静だ。先ほどアリスちゃんに言い寄っていたのが加藤 有里だ。王女以外の二人は僕が絡まれているところを助けて以来仲良くなった。そして今、入ってきた四人だが  「ちょっと、三人とも何やってるのよ」  「いつものことじゃん」  「確かにいつものことね。私も頑張らないと…」  「けれど抜け駆けはひどいわ」  上から中村 孝子、北沢 真理、石川 菫、伊集院 奏だ。四人とも先程の二人と同じ経緯だ。  そしてあれから五日と言ったが、その間何をしていたというと訓練だ。勇者である僕は戦場へ行き、西から攻めてくる帝国を追い払うため日夜訓練と勉学に励んでいる。  言っておくが西のアルマイル帝国だが聞くにひどいありさまだ。国民は飢え、貴族、王族の圧制に苦しんでいるそうだ。そして何より帝国が攻めてきているせいで、この国ピース王国も経済的にも打撃を受け飢えが発生しているようだ。  このままじゃいけないと思う。それに連が僕から離れた意味を考えると早く平和にしなきゃならない。
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