あすなと佑都

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そうだった――。 俺は唇をかみつつ、返事につまり下を向く。 「……ありがたい話で、1週間前ならやらせてくださいと即答してました。……けど」 言いながら、右手に力が入り拳を握る。 夢が掴める間違いなく大きなチャンスなのに。 何故、今このタイミングで……。 「あぁ。今その話を聞いてもらったところだ」 そんな俺に、先生は言わなくてもいいぞと優しく包み込むように肩を触りながら話す。 「すみません……」 声が震えた。 その様子を見たスーツの担当者が言いづらそうにでも様子をうかがないながら言った。 「……二週間までこちらは待てます。いい返事を期待してます」 「……はい」 俺は上を向き、力強く返事をした。
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