あすなと佑都

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『僕は何も知らないんだ』 『ありがとう。信じてくれて』 ーーはいOKですー。ご苦労さま。 「ありがとうございました」 俺は関係者各位に深々とお礼を言いながらブースを後にした。 脇役だけど、二言もらえた。やっとここまで来れた……。 高校を卒業後、声優を夢見て3年……やっと台詞をもらえた。 夢が確実に近づき、もう少しで叶うんだと。 今日は人生で一番幸せだと少し大袈裟にその感動を噛み締めていた。 今日は奮発して美味しいお肉買っていこうかな。あ……でも今月バイト少なくしてお金ないんだったっけ……。 そんな事を考えていたら、ポケットに入れてたスマホが震えた。 誰からかと思ったがそこには名前が表示されておらず、電話番号の下3桁が110だということに気がついた。 警察……? 俺は慌ててその電話に出た。 ーー俺は気分が良かったんだ。最高に。 だけど、この電話で人生最悪の日に突き落とされた。
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