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「どうもありがとうございました」
俺がそういうとあすなも横で深々とお辞儀をする。
俺は先生から説明を受け、そのまま退院の手続きをして看護師さんたちにお礼を言い病室を後にする。
あすなの声は、事故の時大声の出しすぎにより喉を痛めたのもあるが、それよりも心因性によるものだろうとの話だった。
それがいつかはわからないが、また声が聞ける可能性があると言われた時には俺は心底ホッとした。
「今日は兄ちゃんがあすなの好きな特性炒飯作ってやるからな!」
家に着き、一息ついたところであすなに話しかける。
そしてあすなは笑顔で頷いてくれた。
――明日は、両親の葬式やらでまたバタバタ忙しい。
せめて今この時だけは穏やかな時間が流れる事を願った。
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