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―杉浦さんは、新聞を介して様々な情報を読み取ることができるんです。新聞をみると浮き出して見える文字があって、それを並べかえるとメッセージになっていたり、というような。杉浦さんのそばにいれば、あなたにも霊的な能力が開花するかもしれませんよ。
「そんなオカルトな力いりません!」
壁子の存在を半信半疑ながらも、根は素直な梓だったから、思わず壁子の言葉に答えて叫ぶようにそう言った。
「見た目通り頑固で頭の悪い女だな。感心するよ」
「パワハラですか!」
そう言って梓はむうと頬をふくらませる。
「まあ、壁子の存在は何となく認められてるみたいだから、先に話を進めるぞ」
そう言って一呼吸おいてから、杉浦は言葉を続ける。
「壁子からの情報で、今、私立星華高校に関わる何か不穏な動きがあると知ってな。非行が横行していることは世間に知られたところで、まずはそこから攻めれば何かとんでもないものが釣れるんじゃないかってな」
「星華高校?さっきの女の子の通う高校ですか?」
「そこから話さなくちゃいけないのか…。あんた、どこまで馬鹿なんだ?」
そう毒づきながら、杉浦はあきれ顔で梓を見やる。
「いいかげん馬鹿馬鹿言うのはやめてくれませんか?というか私、他県から赴任してきたのでわからなくても当然だと思うんですけど」
そう言って梓がまたむうと頬をふくらませるようにすると、杉浦は顔をしかめながらも説明を加える。
「星華高校は、素行に問題のある子供や精神的に弱い子供たちを積極的に受け入れていて、発達障害や心の病を扱う病院や研究機関と結び付きが強く、言ってしまえば、そういうケアを売りにしている学校だ。非行に走る子供がでるとの噂は絶えないが、卒業を迎えるまでに皆更正し、そればかりか、有名大学に進学したり、一流企業に就職、あるいは起業する者までいるという話で、そこも、調べるべきところだろうな」
「たかが片田舎の高校に、事件性なんてありませんよ。それより、まともな仕事しましょうよ。零課ってそもそも何をする課なんですか?」
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