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あぶく銭っていうのは、無くなるのが早い。
一億円なんて、あっという間。
無くなったところで生活には困らなかった。
地道に会社員を続けているからだ。
金儲けよりも、あの快感をもう一度味わいたい。
一億円は宝くじで手に入れた。
その宝くじは、映りの悪いテレビを観ていたら手に入った。
あの日、平日なのに休みで昼間からビール片手にテレビを観ていた。
甲高い声の男性司会者が、叫んでいる。
「百万円分の宝くじプレゼント」
電話すれば応募が完了らしい。
たまたま携帯が近くにあった。
初めてこの手の懸賞に応募した。
まさか。
百万円分の宝くじが当たる。
瞬間、身体に電気が走る。
後からじわりじわりとやってくる。
身体の内側からくすぐられたような、なんとも言い難い。
心地よい快感に身体中が満たされる。
嘘だろ。
その宝くじで一億円があたった。
あのときのあの快感。
ここまでくると、もう一回当てたくなる。
当てたい?
正しくは、あの快感を味わいたいだ。
一億円を競馬に注ぎ込んだ。
あの快感を得られるほどの当たりはない。
全財産を手に、飛行機に乗り込む。
目指すはラスベガス。
もう一度あの快感を味わうために。
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