一億円札

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ある日、俺は『一億円札』を拾った。 えっ? そんなお札なんかあるわけ無いって!? いや、それくらい俺だってわかってるさ。 最高額のお札は福沢諭吉の一万円。 そんなの常識だ。 けどな、確かに拾ったんだ。 F市にある住宅街でな。 その一億円札にはなんだか見たこともないオッサンの絵が描かれていて、子どもの落書き見たいな字で『いちおくえん』ってあってな? 確かに子どもの落書きに過ぎないんだけど、なんでか文字以外の模様とか肖像とかはやたらとクオリティ高いんだよ。 透かしとかもちゃんとついていてね。 親に見せてみたらバカウケしてたな。 『いちおくえん』の文字とそれ以外のギャップは、本当に滑稽だったからね。 なかなか面白いんで、銀行に持っていってみたんだよ。 今思えばこれが失敗だったね。 やたらクソ真面目そうな銀行員が出てきて、 「当銀行ではお取り扱い出来ません」 なんてニコリともしないで突き返されたんだ。 そしたら、俺も急にバカらしく思えてきてさあ・・・
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