第1章

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私と同様、スナも中学で差別を受け、悲しいことに自分が在日であることが受け入れられないと打ち明けてくれた。 大学に進学した後は、海外に留学したいと考えていると話してくれた。 偏見や、差別のない国に行きたい。 狭い領域の中から脱出したい。 小さなことで、クヨクヨ悩む自分を変えたい。 とも言っていた。 在日じゃなければ、自分はこんな性格じゃなく、もっと明るく前向きに考えられる人間になれていたかもしれない。 と聞いた時は、チクッとした痛みが体に走った。 日本にいること自体に息苦しさを感じるほど、スナは追い詰められていたのかもしれない。 スナの選択は、日本を出ることだった。 それは、私にしかまだ話してないと言っていた。
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