第1章

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嫌な記憶を思い出させてしまうのは避けたかった。 私は泣かせちゃダメだと思って、 「けど、あったまにきて、最後は我慢できなくなって、 ぶん殴っちゃった。」 と笑って言ったら、スナはブッと吹いて笑い泣きした。 「嘘でしょー?」 「嘘じゃないんだな、これが。」 少しの間、二人で笑っていた。 スナは涙をハンカチで拭きながら、笑っていた。 スナがその時の話、聞いてもいい? と遠慮がちに聞いてきたので、私はあの頃のことを思い出しながら、詳しく話をした。 少しでも気持ちを癒せるなら。 純粋に、スナに寄り添えたらと思った。
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