第1章

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桐谷さんが依頼書を書いている間、わたしは彼女をじっと見ていた。 あぁ、やっと見つけたと思った人に、裏切られるなんて……。 ショックだったんだろうな… だって殺したいほど… ん? 「やっぱり殺すんですか!?」 裏返ったわたしの声に、二人は一斉に顔を向ける。 「えぇ。殺したいほど憎んでいるの」 と桐谷さん。 「もちろんだよ、夏樹ちゃん」 と倉田さん。 「だめに決まってるじゃないですか!?第一、殺人は刑法199条によって懲役、または……」 死刑。 いくら最悪な人でも、殺したらこっちが大悪人だ。 「いや、ナイフで堂々と殺しに行くわけじゃない。事故に見せかけるか自殺に見せかけるかだね」 倉田さん、そんなに笑いながら言わないでください! 「さっきまで、殺しましょうとか言ってたじゃない」 いや、それはそうですけど…… 「とにかく、わたしはやっぱり殺人には反対です!」
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