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『じゃあ行こ?
本当に近くなの!』
案内をしようと
小さな手が女性の手を引く
少し大きな優しい手
毎晩のように
少女を包んだ温かい手
鬱蒼とした場所に足を踏み入れ
纏う衣装に気を配りながら
しばらく歩くと
少し開けた場所に出た
陽の光が降り注ぎ
照らすその場所には
廃城があった
何百年もの間
放置されていたのか
それとも
忘れさられたのか
しかし
それでも
存在感のあるモノだった
『ほら、こっちこっち』
廃城へ着いた途端
ぱっと女性の手を離し
軽い足取りで中へ入って行く
そんな少女を追いかけ
崩れかけた門を通り
奥へ進んでいく
壁や天井が所々崩れていて
女性の不安を煽っていった
だが
そんなことには
気にもとめず
時折女性の方をちらっと見ては
少女は更に進む
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