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その日の夜………
「レオライザー、プリン持ってきたよー」
プリンとスプーンを2本持って部屋に入りレオライザーに声をかけると、レオライザーは何やらタブレットのようなものをいじっていた。
『ありがとう』
「何してたの?」
レオライザーは私からスプーンを受け取ると、チラリとタブレットを見て自分の背丈より大きなソレを軽々と持ち上げた。
『これは、宇宙保安警備隊専用の連絡端末だ。これで回収したバギーの玉を本部に送ったり報告書を送ったり情報を調べたり通販を頼んだりすることが出来る』
「ヒーローって通販頼むんだ」
『あと、オークションもよくしてる』
通販とオークションを楽しむヒーローって………。
ま、まあヒーローっていっても色々いるもんだよねと自分の脳内にあったヒーロー像が崩れていくのを実感していると、レオライザーの持っていたタブレットから短いメロディが聞こえた。
『お、先程頼んだ調査報告がもう来たか………
どうやら、あの勉強小僧はしがらみを吹っ切れたみたいだな』
「もしかして須藤君のこと?」
『彼はどうやら、叔父の所に行ったそうだ。
親とは随分ともめたみたいだが兄弟が背中を後押ししてくれたそうだぞ』
そうか、須藤君も色々と吹っ切れたのか。
胸の中に広がる暖かい気持ちにほっこりしているとレオライザーは自分の背丈ほどもあるスプーンを器用に動かしてプリンをすくった。
『しかし、あのバカップルはどうにかならないのか?今なら巻き込まれましたで始末書誤魔化せるぞ』
「ヒーローが物騒な事言わないでよ!?」
『リア充撲滅』
そんな単語どこで覚えた………。
完全に崩壊してもはや塵となっているヒーロー像をぼんやり浮かべているとレオライザーはスプーンを置き、ちょっと溜息をしていた。
『このまま多少、精神に暴力的だが大人しくバカップルしていてくれたほうがいいんだがな』
「え?」
どういうこと?と聞こうとしたが視線を皿に向けると完全にプリンはなくなっており一口しか食べていない私とレオライザーのバトルが繰り広げられることになったのだった。
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