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時刻は6時半。
目覚ましの音が鳴り響き、布団から手を伸ばして数回空振りをしながら目覚ましを止める。
まだ、眠たいという欲求している体を無理矢理動かしてカーテンを開けば朝日が部屋に入り込み目を細める。
クローゼットを開けて制服を取り出し着替え、部屋を出て向かうは洗面所。
顔を洗いボサボサになった髪の毛を整えてリビングに入れば出汁の香りが部屋に広がって思わずお腹が鳴った。
「おはよう、父さん母さん」
「おはよう、由花」
「由花、おはようご飯出来てるわよ」
両親に挨拶をして席に座ればワカメと油揚げの入った味噌汁と焼いた鮭の切り身と炊きたてのご飯が出てきて母さんが座ったところで家族全員でいただきます。
そこからはニュースを見ながら他愛もない話をして食べ終わったところで食器を片付けて歯磨きをして父さんが先に家を出る。
私は一度、部屋に戻って今日持っていく教科書等の最終チェックをして本来ならすぐに部屋を出るのだが今日は違った。
「うーん、やっぱり可愛いな」
机に置いてあった新しい腕時計を取って思わず眺めながらにやけてしまう。
昨日学校帰りに一目惚れして買った腕時計。
革のベルトにアンティーク風の文字盤、文字盤を覆っているガラスも綺麗で少しゴツく見えるがそれでも気分が高揚してしょうがない。
「由花ー!学校遅れるわよー」
「はーい!」
母さんの声に返事をして急いで腕時計を着けてからカバンを持って家を出る。
空は晴天
いつもの道も今日はなんだか輝いて見えるような気がする。
新しい腕時計、素敵な私の腕時計
今日は、とてもいい日になりそう
そんな予感がしたのだった。
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