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「……そういや、バスケ部ってあの人もいるの?」
「ん?あの人?」
「あー……鹿原先輩…」
「うん、いるけど…何で?」
「……いや…何となく」
唐突にそう言われ、聞かれるまま答えた。でも、何で急にそんな事聞いてきたんだ??中学時代だって大して悠吾先輩と仲良くしなかったこいつが。
「ふーん……やっぱいるんだ…」
陸斗は暁に聞こえない小さな声でボソッと呟いた。その時の陸斗の顔は無表情そのもので…。
「早く俺のものになればいいのになぁ…?」
これも呟いたつもりが、暁には聞こえてしまったようで、びっくりした顔で陸斗を見た。
「……えっ、陸斗好きな奴いんの?!」
「聞こえたのかよ…」
「えっ、誰?!同中?!」
「…………………教えねぇ」
「はぁ?!なんで!?」
「…言ってもわかんねーよ。それにお鈍ちんなあきらちゃんには一生わかんないですよー」
フイッと、反対方向を向いた陸斗に問い詰める暁だが、こうなったら何が何でも喋らない事を暁は知っているためそれ以上は何も言わなかった。
……知らなかった。ずっと一緒にいて好きな奴が居るとか…。何も聞いた事無い。
え、まじだれだ…。
この時の暁はハテナマークだけが頭を一杯にした。
そして、2週間後。
ー入学式ー
「ねぇ、あの人かっこ良くない?」
「思った!凄いイケメンだよね。王子様みたい…!」
「でもその隣にいる人も美人…。男の子だよね…?」
「王子とお姫様みたいな?」
「野郎であの可愛い顔は無しだよなぁー…」
「可愛いっつーか、綺麗っつーか…」
「いや…でもあの顔なら…男でも…」
「お、おい…隣のイケメンこっち睨んでねーか…?!」
「目を合わすな…!…魔王だ…」
陸斗と暁が学校に着いてから、2人の事が学校中に広まるのに時間はかからなかった。
「おーおー、陸斗めっちゃ言われてるじゃん…。やっぱお前はモテるね~」
「…逆に何でお前が気付かないのか不思議だ」
「?何?」
「いや……、気にするな」
もうこんなの慣れっこだという感じで陸斗は適当に暁をあしらう。
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