みんなに話さなきゃならないことがあるんだ

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「なんなんだよヒロ!!」 「俺は、お前を殴るぞ!!」 「はあ!?」 「俺は、ミユキが好きなんだよ!! だから今、お前に腹が立ってんだ!!」 ヨロヨロと立ち上がり、ヒロはケンジに殴りかかる。 「お前は親友だから、だから俺はお前を思いっきりぶん殴る!!」 「なんでだよ!! 意味わかんねえよお前!!」 「意味わかんなくていいんだよ!!」 土手の上から叫んだのはサトルだ。 「恋なんて、青春なんて、意味わかんねえもんなんだよ!! だから、思いっきり殴り合え!!」 「うおおおおおお!!」 「ああ、チクショウ!! やってやるよ!!」 「ちょっと、なに燃え上がらせてんのよバカ!!」 「こらケンジ!!やめなさい!! ヒロ君も、やめなって!!」 土手を駆け下りる女子2人。 「これでいいんだよ!! 青春、スクランブルだ!!」 叫び、サトルもカバンを投げ捨て土手を駆け下りる。 殴り合うケンジとヒロ。 それを必死に止めるミユキとユカ。 叫ぶサトル。 5人のすぐ近くに、雷が落ちた。 「「!!!!!!」」 停止する5人。 沈黙の中、雨の音だけが響く。 「……ヤバくねえか?」 「うん、ヤバい、よね……」 真上で雷鳴が響く。 5人は顔を見合わせ、次の瞬間、駆け出した。
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