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「はあ、はあ……」
場所は再び学校へ。
びしょ濡れの5人、靴箱で雨宿り。
「あ、危なかった……」
「ああ、ほんと、死ぬかと思った……」
「もうびしょ濡れだよ」
「はい、タオル」
ミユキが、カバンから出したタオルをユカに差し出す。
「……使ってないやつだから」
「……ありがと」
「…………」
気まずい沈黙。
「……ごめん、叩いたりして」
「お互い様だよ、私も叩いたし」
「……それよりも、ヒロ君、私のこと好きって」
「ああ、好きだよ」
「でも、私、ケンジのことが……」
「知ってるよ
でも、俺はミユキが好きだ」
仁王立ちし、弱まってきた雨を見つめながらヒロはそう言った。
「でも、そのミユキが好きなケンジはユカと付き合ってる」
「知ってる
でも、私はケンジが好き」
「ふふっ」
ユカが小さく笑った。
「負けないから」
そう言って、ミユキも笑う。
「俺も、お前には負けねえ」
「いつでもかかってこいよ、親友」
ヒロがケンジの胸に拳を当てて言った時
「あああああああああ!!!!!」
サトルが叫んだ。
「なんだよ、うるせえな」
サトルは両手で頭を押さえ、震える声で言う。
「い、一億円、土手に置いて来ちまった……」
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