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「と、とりあえず、落ち着いて状況を整理しようぜ、な?」
「お前が落ち着けよ、いつまで札束握りしめてんだよ」
ヒロに言われ、サトルは慌てて札束を机に置く。
「…………」
沈黙。
ミユキのすすり泣く声だけが響く。
「あ、あの、ミユキ……
俺、お前がそんなこと思ってたなんて、全然わかんなくて……」
「…………」
「でも、俺、やっぱ、そういうのじゃないよ、ミユキは……」
「……言わないで」
「ミユキは、幼馴染で、なんていうか、もう兄妹みたいなもんなんだよ俺にとっちゃ」
「言わないで!!」
ミユキは立ち上がり、赤くなった目でケンジを睨みつける。
「兄妹とか、そんなの、聞きたくなかったよ……
これ以上、私に惨めな思いさせないでよ……」
唇を噛み締め、小さな拳を握りしめ、ミユキは駆け出した。
「待てよミユキ!!」
その後を追って駆け出すケンジ。
「ちょっと、ケンジ!!」
さらにそれを追って駆け出すユカ。
「あ、え、ちょ、一億円!!」
残された、男2人と一億円。
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