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「な、なんか、すげえ展開になってきたよな」
サトルが興奮した顔で言う。
「……はあ」
「なんだよ、ヒロ、お前まで」
「いや、さ
俺ら、もう元には戻れねえのかな、って」
ヒロは、3人の出て行った教室のドアを見つめてそう言った。
「昨日まで、俺たち5人は何があってもずっと一緒だって思ってた」
「ああ……
でも、ミユキとユカは、もう無理かもしれないな……」
サトルはケンジのカバンから札束を取り出しながら言う。
「俺だって、もう無理だよ」
「え?」
「俺からも話があるって、言ってたろ?
俺も今日、告白するつもりだったんだ」
「……はあ!?」
札束を数えるサトルの手が止まった。
「え、え、だ、誰に?お、俺?」
「んなわけねえだろ
ミユキだよ」
サトルは両手で頭を押さえ、驚愕に口を開く。
「ドロドロじゃねえか!!」
「ああ、ドロドロだよ、チクショウ」
「はああ、間が悪いというかなんというか……」
「ミユキがケンジのこと好きだってのは、薄々気づいてたんだけどさ
でも、あんな泣き顔見ちまうと、俺、何も言えねえよ」
ため息を一つ、ヒロは窓から空を見上げる。
厚い雲に覆われた空。
遠くに雷の音が響く。
「……やっぱ、俺、行くわ!!」
突然立ち上がり、駆け出すヒロ。
「あ、おい、待てよ!!」
カバンに札束を詰め、それを肩にかけるサトル。
「重っ!!こ、これが一億の重みか……
あっ、待てってヒロ!!」
スクランブル
動き出した青春は、止まらない。
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