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場所は移り、土手。
走るミユキ。
追うケンジ。
ケンジの手がミユキの腕を掴んだ。
「離して!!」
「離さねえよ!!」
「なんで?なんでよ!!
ケンジにはユカがいるじゃない!!」
「なんだよ、その言い方……」
「ユカがいるんだから、私なんて追いかけて来ないでいいじゃない!!」
そう言ったミユキの頬を、ユカが叩いた。
「ズルイよ、ミユキ」
「…………」
「私、ミユキみたいにケンジのこと昔から知ってるわけじゃないから、その部分はミユキには絶対に勝てないから、今のケンジのこと知ろうと思ってすごいがんばったんだよ」
すぐ近くで、雷鳴が響く。
同時に、大粒の雨が3人に降り注ぐ。
「その間、ミユキは何をしてた?
ミユキがケンジの幼馴染で、私が高校からの友達だから、だからなに?
だから私たちが付き合ったらダメなの?
私には資格がないの?」
「そんなこと……」
「そんなの、ミユキのワガママだよ!!」
今度は、ミユキがユカの頬を叩いた。
「私は、私は…ただ……」
土砂降りの雨。
「ケーンージー!!!!」
雨音に紛れて、遠くからヒロの叫び声が聞こえる。
「おおおおおおお!!!!!」
全力で突進してきたヒロは、そのまま勢いに任せてケンジへタックルをかます。
「うわああああ!!!!」
雨の中、土手を転がり落ちるケンジとヒロ。
睨み合うミユキとユカ。
息を切らし、ようやく追いついたサトル。
スクランブル
青春が、暴れ出す。
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