みんなに話さなきゃならないことがあるんだ

9/16
前へ
/18ページ
次へ
場所は移り、土手。 走るミユキ。 追うケンジ。 ケンジの手がミユキの腕を掴んだ。 「離して!!」 「離さねえよ!!」 「なんで?なんでよ!! ケンジにはユカがいるじゃない!!」 「なんだよ、その言い方……」 「ユカがいるんだから、私なんて追いかけて来ないでいいじゃない!!」 そう言ったミユキの頬を、ユカが叩いた。 「ズルイよ、ミユキ」 「…………」 「私、ミユキみたいにケンジのこと昔から知ってるわけじゃないから、その部分はミユキには絶対に勝てないから、今のケンジのこと知ろうと思ってすごいがんばったんだよ」 すぐ近くで、雷鳴が響く。 同時に、大粒の雨が3人に降り注ぐ。 「その間、ミユキは何をしてた? ミユキがケンジの幼馴染で、私が高校からの友達だから、だからなに? だから私たちが付き合ったらダメなの? 私には資格がないの?」 「そんなこと……」 「そんなの、ミユキのワガママだよ!!」 今度は、ミユキがユカの頬を叩いた。 「私は、私は…ただ……」 土砂降りの雨。 「ケーンージー!!!!」 雨音に紛れて、遠くからヒロの叫び声が聞こえる。 「おおおおおおお!!!!!」 全力で突進してきたヒロは、そのまま勢いに任せてケンジへタックルをかます。 「うわああああ!!!!」 雨の中、土手を転がり落ちるケンジとヒロ。 睨み合うミユキとユカ。 息を切らし、ようやく追いついたサトル。 スクランブル 青春が、暴れ出す。
/18ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加