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『ごめん、今は大事な奴いるから。でも待ってて。』
ハッと目を覚ます。
また同じ夢だ。定期的に見る。もう待ってても無理なことくらい分かってるのに…
「サクラ~、起きてるの?今日もまた遅刻するよ!!」
ママが下の部屋から叫んでる。
「起きてるよ~う」
この夢を見た朝は学校に行きたくない。だけど、ゆっくりベッドから降りて制服に着替えた。
私の名前はサクラ。
今は高校2年生。妹2人とママの4人暮らし。
「おはよ~っ、サクラ!」
学校の最寄り駅で私を待っていたのはカスミ。入学式の時に友達になったんだ。
「おはよう!また待たせちゃってごめん!」
「一本早かっただけだから大丈夫~!」
そう言って笑うカスミは、本当に可愛いな~って心の底から思う。だからモテるんだろうなぁ…。
前に可愛いって言ったらサクラは美人で羨ましい!!って言われたけど、男の子はみんなカスミが好きって大騒ぎしてるよ?
昨日のテレビは面白かったとか、今日の体育はサボっちゃう?とか、色々話してたら学校に着いた。
「もう2人とも遅いよ~っ。また遅刻かと思ったじゃん!!」
教室に入って一番に飛び付いてきたのは、同じクラスのモモちゃん。
「だってまたサクラがさぁ…」
「サクラまた寝坊したの~?」
カスミがいつものようにモモちゃんに説明してる。
「ごめん~、今日は起きれなかったの~」
私が夢を見た日の朝は大体この会話。2人には夢の話はしてない。
だって出来ないよ…。きっと信じてもらえない話。変な奴だって離れていかれるのが怖いし、何より私もあの出来事が現実だったのか時々分からなくなるから。
「おっ、今日も可愛いね、カスミは。サクラは相変わらず綺麗で…っいた!」
「また2人にちょっかいかけに来たの?」
そう言ってモモちゃんが睨む先には
「おはよう、森くん。」
森くんがいた。
森くんは背が高くてムードメーカー。いつだってみんなを笑顔にさせてくれる。
「まーた朝から夫婦喧嘩?」
声の主は海綺くん。
クラスで一番人気の男の子。背が高くてスポーツが得意。
「はっ!違うし!こんな奴嫌いだし!」
「はぁ?俺も別に好きじゃねえよ!」
モモちゃんと森くんが同時に口を開く。とか言ってるけど、この2人は付き合ってるんだ。モモちゃんも森くんもツンデレでいつもこんな感じだった。
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