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「なぁ、今日みんなで飯行かねえ?」
カイキくんがそう言った。
カイキくんがみんなでご飯行こうって言う時は、必ず何かある時。1ヶ月くらい前に言った時は、確か…カイキくんのママに病気が見つかった時だった…
「いいね~!なんなら今から行っちゃう??」
「さすがにダメでしょ!早く行きたいけどな~」
「何食べる?俺焼肉がいい~」
みんなきっと気付いてる。だから笑顔で行こうって、わざと明るく盛り上げてる。
だから私も笑顔で
「みんなでご飯とか久々だね!私も今から行きたい~っ」
みんなで盛り上がっていると、嫌な視線を2つ感じた。
1つは教室の前から。あの集団はきっと森くんやカイキくんのことが好きな女の子たち。
モモちゃんが森くんと付き合うことになった時も大変だった。
もう1つは教室の後ろの扉から。隣のクラスの草野くん。入学式からずっと草野くんの視線は私に向けられていた。一度も話したことはないし、知っているのは名前だけ。
「サクラ~?聞いてる?」
心配そうな顔をしているカスミ。
「あ、ごめん!今日の体育どこでサボろうかな~って。」
みんなに心配かけないように笑顔でそう言った。
「サクラがサボるならカスミも~!」
「え~、じゃあモモも!」
2人はいつも一緒にいてくれる。ねぇ、私が夢みたいなおかしな話をしても、ずっとこのままでいてくれる?
結局私たちは3限目の体育をサボって、屋上にいた。
「ねぇ、モモ最近森くんとどうなの~?」
カスミがにやにやしながら聞いている。
あぁ、私は恋愛の話は苦手。みんなみたいに話せることないもん。
「え~、普通だよ?普通。向こう忙しいから、1日デートとかは無理だけどね~」
ちょっと寂しそうなモモちゃん。
森くんとカイキくんはバスケ部だから、休みがほとんどないらしい。
「モモの話よりさ!2人はどうなの?2人は!」
モモちゃんの質問に顔を赤らめるカスミ。
「え…カスミ好きな人いるの?」
気付いたモモちゃんがカスミの顔を覗き込みながら、聞いた。
「星哉…が好き。」
「セイヤってバスケ部の?」
「ん…」
恥ずかしそうに少しだけ頷くカスミ。
「セイヤってカスミの幼馴染みだよね?」
確か入学式の時カスミと一緒にいたはず。
「そう、幼稚園から一緒だよ。ちっちゃい時はすごい泣き虫だったのにな~」
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