第1章 僕に言わせればつまらない

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未来はほんの些細な事象により様々な形に姿を変える。 ある少年は、誕生日に父親からサッカーボールをプレゼントされ、そのことがきっかけで、その後はサッカー一筋の人生を送った。 ……しかし、少年はサッカーの才能に恵まれなかった。 中学高時代はメガホン片手にスタンドから気合の応援……高校時代は実力の無さから選手としてすら認められず三年間選手のドリンク作りの毎日を送った。 結局彼はその後、高等学校の教師に就職、ストレスかは知らないが髪は禿げ上がったもののごく平凡で幸せな生活を築いているそうな。 しかし彼はあることに気づいてしまった。自らの内に秘められた野球の才能だ。 野球にだけ関して言えば、彼は所謂天才であったのだ。 地元のバッティングセンターでは魂のピッチャー返しで毎日ピッチングマシンをぶち壊すという化物じみた所業で、店のブラックリストに名を連ねる活躍を見せているらしい。 だが彼は自らの野球の才能に気付くのが些か遅すぎた。 いくら才能があろうと幼い頃から野球と付き合ってきた人達にはどうしても敵わない。 もし彼の父親が、サッカーボールでなくバッドとグローブをプレゼントしていれば……。 そのことがきっかけでサッカーでなく野球と歩む人生を送っていれば……。 彼は今頃球史に残る名選手として活躍していたのかもしれない。 今私達がこうして過ごしているひと時も。 私達の未来を決定づける引き鉄になっているのかもしれない……! 題 未来とは メイ・アラフォード
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