第1章 上弦の月①

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「そうかぁ・・・」 信久は阿保良の方を見る。 「母上、この男は・・・もしかして!?」 阿保良はゆっくりとうなずく。 「そのシン殿は。あなたの父上・・・  為久様と昔からの友人、  あなたも、父上から聞いた事をあるでしょう?」 信久は睨む様な目でシンを見る。 「えぇ・・・嫌ってほど。 父上から、 シンって言う男が、どれだけ凄い男か、を・・・」 シンは信久から、威圧感を感じた。 「そうかぁ・・・」 信久は振り返った。 「私は、これで・・・・」 信久は家臣たちを連れて、屋敷に戻っていた。 阿保良はシンに申し明けなさそうに 「シン、ごめんなさいねぇ」と言う。 シンは顔を左右に振った。 「別に、気にするなぁ」 「それより、龍姫さま。  長旅で、お疲れでしょう?  さぁ、屋敷にお入り下さい」 「はい・・・ありがとうございます」 阿保良の案内で龍姫と女中たちは、 屋敷に入っていた。 シンは「信久は・・・本当に、 為久の息子なのか?」とつぶやき、 昔の住処に向かった。
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