第2章 上弦の月②

2/10
前へ
/110ページ
次へ
シンが亡き友らと、過ごした住処を、 懐かしそうな目でしながら来た。 「懐かしいなぁ・・・」 すると、物陰に隠れて、 シンの様子を見るシュキ。 「オレたちが・・・暮らしていた頃と、  まったく、変わったなぁ」 シンはシュキの気配に気づき、 シュキが居る方向へと振り向く。 「シュキ・・・居るだろう?」 シュキは物陰から出てきて、 シンに近寄る。 「久しぶりだなぁ・・・シュキ。元気だったか?」 「えぇ・・・」 シンとシュキは、少しの間だけ沈黙する。 「オレが・・・ここに居ない間に、  阿保良たちを見守ってくれて、  ありがとうなぁ」 シュキは顔を左右に振った。 「あたしは、何もしていないわ」 すると、シンの腰に備え付けている妖刀、 雪月華のセツは傘を差した女性に、 実体化した。 シンはセツが実体化したことに驚く。 「おい!セツ!!」 「我が主よ・・・・良いではないか。  ここは、我らしか居ないのだから」 セツはシュキの方へと振り向いた。 「初めまして・・・だったなぁ、鬼の娘」 「そうねぇ」 セツは近くにあった、 木の切り株に腰かけた。
/110ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加