第2章 上弦の月②

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「それもあるんだけどねぇ・・・信久は為久様に、  “兄の仇を取りたい”と、申し出をした時に、  為久は口が滑ったみたいで、  “こんな時・・・シンが居てくれたら”と、  つぶやいてしまったみたいで・・・」 セツは笑い、「ふっ・・・・信久って男は子供だなぁ  父親である、為久が自分よりも、  我が主を頼っている事で、嫉妬・・・・かぁ」と言う。 シンはセツに怒る。 「セツ!!お前なぁ!!」 セツは立ち上がり、 どこかシンを、怒っているような表情した。 「主よ、本当のことではないかぁ。  私からすれば、逆恨みだ。  言葉を変えれば。自分の力の無さを、  力を持つ我が主への嫉妬だ。  人間はそうやって、  憎しみの連鎖を続ける・・・・」 セツはシュキを見た。 「そうではないかぁ?  私と同じように、長く生きた鬼の娘よ」 シュキは動揺し、混乱した顔する。 「それは・・・・」 「まぁ・・・・そこが、  人間と言う者の面白さ・・・・だが」 シンはセツの言葉には、否定は出来なかった。 自分も鬼の力を得てから、 いろんな所で見てきた…… 戦の場面を思い出していた。 悲しそうな表情でシンは、その場に座る。
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