第2章 上弦の月②

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「確かに・・・・オレもこの鬼の力と  セツを手にしてから・・・・見て来たが・・・・」 シンはそれ以上に言葉が出来なく、 月を見上げた。 「我が主よ。お前が言いたいことは  私には分かるが・・・・人間たちは、  欲深い生き物だ。 人間の欲を簡単に、  止めることは出来ない」 「分かっている・・・・セツ」 その頃、信久は屋敷の庭で ソワソワした様子だった。 「まだかぁ・・・・」 そこに、女中に連れられた龍姫が来た。 「殿、龍姫さまをお連れしました」 信久は龍姫が来たことに、 喜んだ表情を見せた。 「そ…そうか?」 女中は去って行った。 龍姫は信久と少し離れた場所に座った。 信久は龍姫が来てから、 興奮した素振りを見せる。 「殿…何か、私に用ですかぁ?」 信久は緊張した口調で、 「龍姫殿は、覚えていますか?」と、 龍姫に訊ねる。 龍姫はその問いに意味が分からず、 首を傾げた。 「何をですか?」 龍姫の答えに、信久はがっかりした顔する。 「やはり……」 龍姫はそんな信久の様子を見て、 もっと意味が分からなかった。 「あの・・・殿に、  お聞きしたい事があるのですが……」
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