序章

3/10
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/110ページ
「シン……居るんだろう?」 木の陰から少し苦笑いをした、シンが出て来た。 為久の目の前に居るシンの姿は、 頭は小さいながらも2本の角が生え 髪は銀色の髪が所々に混じりあっていたが、 為久に見せる笑顔の時はクセは、 昔と変わっていなかった。 「久しぶりだなぁ・・・為久」 為信はシンを見て、心から嬉しくって笑顔になる。 「お前は・・・ずるいなぁ。 あの頃とまったく、変わらんなぁ。 ワシも、ヨボヨボの爺になってしまった」 シンは老化した為久の姿を見て、 自分たちが離れていた時間の重さを しみじみと身染みていた。 「為久……俺は幽霊だぞ。  お前を迎えに来たんだ」と、 冗談を言いながらシンは頭をかく。 そんなシンを呆れた顔する為久。 「シン、お前は昔から、ウソが下手だなぁ。  本当はずっと、ワシらを・・・遠くで、  見守ってくれていただろう?」 シンは軽く微笑みながら縁側に座る。 「ふっ・・・バレていたのか」 為久はうつむく。 「・・・あぁ」 2人は切なそうな目しながら、少し沈黙する。 そして、沈黙に耐えられなくなった為久は 「なぁ……シン。 若き日に、ゴキたちとの……  “ワシたちの城を作る”って言うと、  約束が叶うんじゃ」と、言った。
/110ページ

最初のコメントを投稿しよう!