第3章 三日月①

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その頃、雅雄は天満姫と共に、 徳田家の城にいた。 家康は、上機嫌で勝利の宴を行っていた。 「今日は、めでたい!!  これも、雅雄殿のおかげ!!」 「いえいえ」 上機嫌な家康だったが、 下の向いたままの様子の天満姫に、 気づいて声をかける。 「天満姫、どうした?  今日と言う、めでたい日に、  そんな暗い顔して?」 天満姫は家康への怒りを、隠しながら言う。 「叔父上・・・叔父上の口から、  お聞きしたい事があるます」  「何じゃ?」 「雅雄殿との約束・・・わらわを、 津軽 信久殿の元に・・・嫁がせる・・・」 笑顔だった家康は、瞬時に険しい顔に変わり、 盃を床に置いた。 「そのことじゃが・・・」 すると、家康のその言葉を持っていたかの様に、 隣の部屋から刀を構えた兵たちが、 家康たちが居る部屋にぞろぞろと入り、 雅雄の周りを囲い始めた。 天満姫は兵たちが突然に、出てきたことに驚く。 「えっ・・・!?」 天満姫と違い、少し笑顔の雅雄は、 家康の方に顔を向けた。 「家康殿・・・何のつもりですか?」 家康は床に置いた、盃に酒を入れた。 「お主の役目は、終わったことじゃ」 「では、私とのお約束は・・・?」 家康は雅雄に対して、見下す様な態度を取る。
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