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「そっか。あの世で……ゴキたちは喜ぶぜ。
“よく、やった”って、言うぜ」
為久は微笑む。
「そうだったら、いいじゃろうなぁ」
為久は横になる。
「なぁ、シン・・・・」
シンは為久の方を見る。
「うん?」
「お前に、友として頼みがある」
「何だ?」
為久はゆっくりとだが、声が弱くなってきた。
「ワシらが出逢い・・・・育った地を、
ワシの息子:信久と共に、守ってくれないか?」
為久が生涯を閉じて行くことに気づき、
シンは涙を隠すように、空を見上げる。
「あぁ・・・いいぜ」
為久はもう一度微笑む、
シンには聞こえない声で言う。
「ありがとうなぁ・・・シン・・・お前と・・・出逢い、
友になれた事が心から嬉しかったぞ」
為久は少し呼吸し、そのまま静かな眠りについた。
為久が永久の眠りと同時に、
空から季節はずれの雪が降る。
「おい!!為久、粉雪が降って――・・・・!!」
子供みたいな顔をしたシンは、為久の方を見て、
旅立ったことに気づく。
「為久・・・?!」
為久の顔は微笑んでいた。
シンは涙を流しながら、また空を見上げる。
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