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「絶対に・・・お前との約束を、友として、
守ってやるぜ。だから・・・為久、
お前はゆっくりと、休んでくれ・・・」
シンの腰に備え付けている妖刀、
雪月華の雪(せつ)は、
シンの心に直接話しかけてきた。
――我が主よ・・・・なぜ、
最強の妖怪であるお前が、
そんな悲しげな顔して、泣いているのだ?
シンは涙を堪える。
「最後の友が・・・オレを置いて、旅立ったんよ」
――お前には・・・まだ、人間の心が残っているだぁ。
私はてっきり……元代と言う男から、
私を手にした時からは・・・・お前が完全に鬼になって、
失っていたと思っていたが・・・・
だから、人里は離れた山で・・・・・
シンは雪の言葉の途中で、
急に声を張り上げる。
「雪!!それ以上!!言うなぁ!!」
シンはすぐさま、冷静な声で言う。
「思い出したくないだ・・・・オレが、
オレでは無かった姿を・・・・」
――そうか・・・・
雪はシンに問いかけるのをやめた。
シンは目を閉じて、心を落ちつかけた。
「雪、行くぞ。オレが生まれた地に・・・・」
シンは自分が生まれた地へと向かった。
シンと行き違いで、為久の家臣たちが、
為久がいる部屋に戻ってきた。
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