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「父上と兄上が死んだことは?」
シュキはゆっくりと頷く。
「うん・・・・さっき、あなたの母上さま、
阿保良(おうら)さまから聞いたわ」
信久はため息に似た声で言う。
「そうか・・・・」
信久にどんな言葉をかけていいか、
分からずシュキはうつむくしか出来なかった。
そんなシュキをよそに信久は言い放つ。
「これで~ボクが正式に家督を相続すれば!!
父上と、祖父(徳賀)がこの地で理想にしていた、
❝人間と妖怪……そして半妖が共存する地❞は、
終わりを告げたんだ!!」
シュキは困惑する。
「・・・・信久!」
信久はシュキの方に振り返り、
両手を広げた。
「ボクはねぇ・・・・君たち、
妖怪と半妖を根こそぎ……排除するから」
シュキは言い放った信久の目は、
誰への復讐心をこもっていた。
そして……信久の叔父にある、
元代が同じ事を言っていた事を、
思い出した。
「あなたは、間違っているわ!!」
信久は首を傾げた。
「えっ?なにが間違っているの?
この時代で戦があるのは・・・・
君たち、妖怪や半妖が人間を良いように、
操っているからでしょう?」
シュキは信久が言っている意味は、
痛いほど分かっていた。
それは、自分が“永遠の命”を持つ妖怪で、
自分を人間や妖怪たちが 捜し求め、
戦が起きて来たからだ。
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