第18章 思い出

11/11
前へ
/157ページ
次へ
あれから、青海が来ることはなかったし、翠自身も父親のことでいろいろあり、家庭環境もすべて変わってしまった。 小学校に上がる前の幼い記憶だったので、青海のことは記憶から少しずつ薄れていった。 孤児院にも行くこともなくなり、日本に来た後は父のこと以外思い出そうともしなかったからすっかり記憶になかった。 乃蒼の方がよく覚えていたことは驚いたが、今回はその記憶力の良さに感謝しなければならない。 あの日あったとき、青海は翠が自分のことを覚えていないことに対してどう思っただろうか。 きっとショックだったに違いない。 だって、今朝覚えていない翠に対して青海はすごく寂しそうな顔をした。 今すぐ、伝えなくてはならない。 翠は青海を探して校舎内を走った。
/157ページ

最初のコメントを投稿しよう!

336人が本棚に入れています
本棚に追加