最終章 告白

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翠の素顔を見た親衛隊たちは目を見開き押し黙った。 この学園中探しても一度も見たことのない美しい顔だったのだ。 そして、人だかりの中の何人かは、その素顔を見てとっさにJade U Walterと口にした。 翠の顔は父にそっくりなわけではないが、雰囲気や面影がしっかりと残っているのだ。 「どいて。」 翠は長すぎる前髪を耳にかけるとまっすぐ人だかりの中心へと歩いていく。 まっすぐ歩くと、そこに青海がいた。 青海は不思議そうな顔をしてこちらを見ていた。 翠はそんな青海に向かって小指を差し出した。 青海は翠の小指と顔を交互に見比べる。 「ずっと待ってたよ、青海。」 翠は青海に向かって極上の笑顔を向ける。 すると、青海もふっと笑うと翠の小指に自らのそれも絡めた。 「忘れてたくせに。」 青海が少し悪態をついてから、翠を抱きしめた。 「I love you,Sui.(好きだよ、翠) I've loved you since 10 yars ago.(10年前からずっと。)」 青海の心地の良い体温。 大きくなった身体。 面影は残すものの男らしくなった顔。 低くなった声。 そして、10年前から変わらない、英語の変な癖。 翠はクスリと笑うと青海の背中に腕をまわした。 「ぼくもすきだよ、おうみ。」
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