自動販売機と少女

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自動販売機と少女

ここは、公園の中央に向かう、レンガ風の小道。 まわりには、青々とした芝が茂り、こころを和ませる。 目の前には公園の中心で、この公園のシンボルがある。 今、目の前にある、大きな噴水がそれだ。 大理石を模した、少し高級感あふれる佇まいになっている。 特にここは、住民の憩いの場だ。 噴水のまわりには、樹木が覆い、清々しい新緑の風がこころにしみわたる。 ベンチの数も、数えると20台ほどあり、本を読む人、新聞を読む人、スマホをいじくっている人、友達とおしゃべりをする人、十人十色だ。 広いので、人が多くても圧迫感がない。 私はここが、かなりのお気に入りだ。 少し喉が渇いたので、樹木を抜けた公園の入り口に足を向けた。 清涼飲料の自動販売機が3台並んでいる。 メーカーブランドのものが2台と、100円均一のもの。 (当然みんな、100円の方しか買わないんじゃない?) と、ほぼ当たり前のことを考えながら、100円を小銭入れから出した。 そこには少女が立っている。 仕方がないので、少し離れて順番待ちをした。 少女が辺りを見渡して、私の存在に気付いたようだ。 しかし、何か言ってくるわけでもなく、ただそこに立っているだけだった。 あまり人とは関わりたくなかったのだが、その少女に話しかけることにした。 「どうかしましたか?」 できる限り、丁寧に話しかけた。 少女は、オロオロとして、私の眼をちらりと見るんだが、極力眼を合わせるのを避けているようだ。 (どこかでみたことがあるな?どこだった?) 「あの!!ジュースが欲しいんです!でも、1万円しか持ってなくって」 初めの勢いとは逆に、声が尻すぼみになって、最後の方は、よく聞こえなかった。 手に、1万円札を持っていたので、少女の言いたかったいことはわかった。 普段なら絶対にやらないだろう。 しかし私は、この子に興味を持った。 なぜだか、わからないのだが。 私は少女にどのジュースがいいか聞いて、100円を入れて、少女に渡した。 「あ!いいんですか!ありがとう!」 ジュースを宝物のように、大事そうに持って、私にお礼を言ってくれた。 そして、少女は足元にあった、スーツケースをひょい、と持ち上げた。 (あれ?そんなのあったっけ?) そこまでは観察していなかったので、あったのだろう。 「これ!!差し上げます!」
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