第1章

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 これはビギナーズラック、と言っていいのだろうか。  前後賞の1億が当たった。  確認した場所は俺の部屋で良かったと、止めていた息を吐いた。  本当に当たっているのかとパソコンをもう一度見るものの、俺が買った宝くじの番号と一致している。あり得ないくらい、ラッキーなことだろう。  あの日。俺は彼女と別れた直後だった。やけくそになって、駅構内にある宝くじ売り場に俺は直行し、バラで10枚買った。一等の5億を当てて歌舞伎町で豪遊してやる! なんてふざけた事を考えて買ったけれど、当たる筈もない事を前提に考えていたわけじゃなく、当たる事を前提に買った、バラ10枚だった。  なにせ元彼女、美和との付き合いは2年。  俺にとっては居心地の良い子だった。  別れた理由を訊くと、結婚したいから、だった。
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