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赤く染まる絹糸を、恍惚に見つめる一人の貴婦人がいた。 それは常人のものではなく、恍惚な表情の中に、異常さを宿していた。 どこか、黒いものを宿した病んだ瞳は、その絹糸を嘗めるように見つめ。 美しく艶やかな唇からは、うっとりと大切なものを愛で、快感を感じているような溜息をもらしている。 「ふふ、やっぱり素敵ですわ」 その声も、やはりどこかとろんとしていて、現実を生きているのかさえ分からない。 「今度は、何を仕立てようかしら」 赤く染まる絹糸を、妖しく見つめる姿は、とても妖艶で。 何をしたてようか、思案している姿さえ、とても艶めかしい。 「シンプルなドレスにしましょう。屋敷の中で着るドレスが、少しずつ傷んできていますもの」 仕立てるものを決めた貴婦人は嬉しそうに微笑み。 どんなデザインにするか、幸せそうに思案している。 時折漏れる、微かな笑いが、とても妖しくて。 そして、この屋敷の猟奇的な事実を表しているようだった。
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