Aランクの依頼

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そう言ってジロジロと、シリルを見る男。 シリルは慌ててジェムの後ろに隠れる。 同時にバーンと僕はその前に立った。 俺達の態度に不満も顕に男は怒鳴る。 「何だあ?お前達は、俺に逆らうってえのか?俺は、お前達の教官なんだぞ?俺に逆らえば、お前達は単位を貰えないってのが判ってて俺に逆らうのか!」 胸を張って怒鳴る男に青ざめるバーン達だったが、僕は男を睨んで言った。 「こんなのは、審査とは何も関係ない!僕は、これでもランクはちゃんとAを貰ってるんです!貴方のやってる事が不当だと訴える事は出来ますよ。ランクは貴方と同じなんですからね」 僕はそう言って偽装用のランクAのカードを示した。 途端に男は青ざめて僕を睨みつけた。 「な!馬鹿な!必ずランクの低い者が、ランクの上位の者を見学となる筈じゃないのか!」 男の言葉に、僕は言った。 「確かにそうですが、ランクSを学園卒業前に見学する意味が有りますか?あれは、命懸けの討伐が主体になる物です。経験を積んでからと言うのが普通では有りませんか?」 僕の言葉に顔を引き攣らせる男。 そう。AランクとSランクの間には大きな壁が有るんだ。 危険度の差が大きく違ってくる。 大人と子供程にね。 だから、学生の間はSランクの試験は行われない事になってる。 僕の場合は特例何だよね。 だって、僕の使い魔が僕の魔力を使って単独で倒せちゃうんだから。 そのうち、僕にもやらせるって言ってるけど、どうなる事か。 僕でも単独で漸く、魔物の高いランクの討伐も出来るようになって来たし、もうすぐかなって言われてる。 幸い、今は魔獣が出没したとの報告は来ていないけど。 今度現れたら、僕にも手伝わせるって言われてる。 不安は大きいけど仕方ないよね。 だから、出来る事はやるつもりでいるんだ。僕はその為に魔法使いになるんだから。 僕の言葉に、顔を引き攣らせる男。 「ち!折角楽しんで狩りが出来るって聞いて引き受けたのにこんな生意気なガキが一緒だとはな」 大きく舌打ちをしながら吐き捨てるように言う男に、ジェムやバーン達も顔を顰める。 「仕方ねえ。行くぞ!俺が指導者なんだからな。ランクは同じでも、お前のようなガキと同じ扱いだと思うなよ!」 男は、僕を睨みつけて部屋を出る。 僕達は急いで男の後を追った。 男はそのまま依頼書を受け取り転移用の魔法陣に入る。
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