Aランクの依頼

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「おい!早く来い!さっさとしろ!」 男の言葉に、僕達は走り込むようにして魔法陣に駆け寄った。 その時、男は一番足の速かったシリルの腕を掴むと僕達を蹴飛ばして弾き出して転移した。 魔法陣の外に転がった僕達は、唖然っとする。 「はあ?何やらかしてんだ!あいつは!」 「シリルだけを連れて行きやがった!」 僕は、静かな怒りが胸の中に沸き起こるのを感じた。 シリルは僕の渡した魔道具を身につけてるから居場所は直ぐに把握出来た。 僕は無言のままに立ち上がると怒鳴り慌てるジェムに言った。 「ジェム。落ち着いて。心配ないよ。シリルは僕の魔道具を持ってる。場所は分かるし直ぐに向かえるから」 僕の言葉には!っと気がついた表情で自分の指輪も見て僕を見た。 僕は頷いて言った。 「バーンも一緒に、行くよ。僕の肩に手を置いて」 バーンは、直ぐに満面の笑顔で僕の肩に手を置く。 ジェムは少し考えて不安そうに手を置いた。 ランクAともなれば、転移は必須だからね。 それは、知ってると思う。 唯、魔力が沢山必要なので僕を心配してるんだろうなって感じた。 当然か。自分だけでなく人を一緒に運ぶのは魔力を使うからね。 僕は3人揃って転移した。 転移した先は森の中で、目の前に洞窟が見える。 その中から、シリルの悲鳴が聞こえて来た。 僕は一気に魔力球を、先に突っ込ませると同時に走り出していた。 僕の速さに慌てた様子で、バーンもジェムも追いかけて来た。 僕達が洞窟の入り口に着いた時中で大きな音がして悲鳴が聞こえた。 慌てるジェムを、バーンが抑えた。 「な!バーン!離せ!シリルが!」 慌てるジェムに、バーンは頷いた。 「落ち着け!大丈夫だって!今の声はシリルの声じゃなかったろ!」 バーンの言葉に、は!っと気がついた様子をするジェム。 バーンは、僕を見て言った。 「今、シリルは?」 僕は、洞窟の奥を見ながら言った。 「ふう・・・大丈夫。こっちに走って来てる。監督の人は後ろから襲って来た魔物と戦ってる」 足を止めて言う僕の言葉に驚いた様子で僕を見て言うジェム。 「は?見えてるとでも言うのか?何で?」 ジェムの言葉に、笑いながらバーンが答える。 「俺達に、魔力球を教えてくれたエルだぜ?こいつ、魔力球に意識を通わせられるんだよ。 だから、そこで起こってる事を見る事も出来るんだってさ」
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