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バーンの言葉に、何か思い当たったのだろう。
ジェムが言った。
「あ!そうなのか?魔力球ってそんな事も出来ちゃうのか?」
ジェムの言葉に、洞窟の奥を指差しながらバーンが言った。
「コントロールが、相当良くなきゃ出来ないって言われたよ。ほら、出て来る」
その時、少し着衣を乱したシリルが、走り出て来た。
「シリル!」
ジェムが大きな声を上げた。
必死な表情で走って来たシリルはジェムの声に、反応してジェムを見つけるとホッとした様子で走り寄ってきた。
「ジェム!バーン!エル!」
僕達を見て安心したのだろう。
ジェムに抱きついて身体を震わせるシリル。
その背中を撫でるジェムと頭を撫でるバーン。
「良かった。無事で」
喜び合う3人に僕は言った。
「安心してる場合じゃないよ。奥から魔物が出て来る。皆は此処に居てね。指輪の結界を作動させるから」
そう言って指を鳴らすと、3人を囲んで強力な結界が作動する。
「「な!エル!」」
驚きの声を上げたのはジェムとシリル。
呆れたように言うのは、バーン。
「何だよ。あんな奴に手を貸すのか?エル」
バーンの、安心しきった様子に慌てるジェム達。
「何を落ち着き払ってんだよ!バーン!エルが危ないんじゃないのか!」
ジェムの言葉に、シリルも頷く。
バーンは、満面の笑顔で得意そうに言った。
「エルだってランクAなんだろ?心配無いさ」
バーンの言葉に、一瞬安心した表情になるジェムだったが、シリルの言葉に慌てる。
「確かに対象はAランクの魔物だったけど、数が尋常じゃ無かったんだよ!彼奴が大慌てしてたから!」
シリルの言葉に、顔色を変えるジェム。
僕?うん。魔力球をずっと操作してる。
取り敢えずは、彼が死なないように攻撃の数を制限させて、余分な攻撃は防ぐように動かしてる。
彼は、そこそこの実力は有るようだが、マメに鍛錬を行う程の事はしていないようだね。
だって、もう息が上がってきているんだもん。
魔力操作をして敵の位置を的確に把握して、最小限の動きで倒せば無駄は少ないのに、大ぶりで外れる事も多い攻撃で、魔法を大きく放つ為の予備動作が長いものだから、放つ事も出来ない状態のようだ。
ヨロヨロしながら洞窟の奥から走り出て来た男は、僕の姿を見つけて慌てる。
「何でお前らが此処にいるんだ!お前が連れて来たのか!」
慌てる様子の男に思い至った。
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