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ああ。そうか。彼は僕達の指導教官になってるんだっけ。
僕達に何か有ればそれは全て、彼の責任になるんだっけ。
男は僕を睨みつけて怒鳴る。
「お前だって、Aランクだろ!そいつらはお前が責任持って連れて帰れ!この依頼は放棄だ!ランクがおかしい!」
うん。判断は間違って無いよね。ちゃんと、Aランクの実力は有るんだ。
「本来ならそうでしょうね。けど、これは破棄出来ませんよ?態々魔物の巣に飛び込んで、魔物の子供を狙って掃討して良い所を見せたかったのでしょうが、相手を完全に怒らせてますよね?
このままでは、僕達が居なくなれば怒りのままに周囲を攻撃のしてまわる事になって、最悪、街にまで攻撃を仕掛けてくる事になりますよ?」
僕の言葉に真っ青になるシリル達。
男は、僕に怒鳴りつけてくる。
「う、煩い!何を知った風な口をきいてる!ガキのくせに生意気な事を言うな!何も知らないくせに、そんな知ったかぶりは意味が無い!さっさと帰れ!」
男はそう言って外に走り出ようとした。
外に出れば、転移が出来るからだ。
だが、そこは結界で阻まれる。
「な!何だ!これは!」
僕の横をすり抜けて外に出ようとした男は、僕が発動させた結界に阻まれて外に出られないでいるのだ。
僕は洞窟の奥を見たまま言った。
「今、此処で魔物を外に出す訳にはいきませんからね。魔道具を使って結界を張らせていただきました」
僕の言葉に、真っ青になって男は怒鳴る。
「な!結界だと!こいつらも巻き込むつもりか!」
そう言って彼等に触れようとして阻まれた事に青ざめる男は、僕を睨みつける。
「まさか、お前と俺だけを内側にしたのか!」
僕は男に振り返って言った。
「当然でしょう?僕達はランクAです。討伐の見学をさせる事を目的に連れて来たのでは無いのですか?」
僕の言葉に、僕を睨みつけて怒鳴る男。
「煩い!この依頼は、指導者の俺が破棄と決めたんだ!この結界を外せ!外に出せ!」
大きな声で威圧するように怒鳴る男に、僕は冷静な声で言った。
「出来ませんね。魔物は全て狩るしか方法は無いでしょうね。貴方が興奮させすぎてて、収まりそうにありませんからね。さあ。来ますよ。構えて下さい」
僕はそう言って僕は左右に魔力球を視覚化させる。
小さい魔力球だが、数が多い。
100個位の、魔力球を浮かべながら正面を見据える。
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